私が中学生の時によく遊んでいた友人はとても色黒で、左利きで、絵がとっても上手で、帰宅途中に必ずむっちゃん饅頭（ハムタマゴ）を買い食いして、冬でも私服は短パン（一面の銀世界になるほど雪が積もった時だけハーフパンツ解禁）で、あとチョココルネが好きでした。

そんな友人と年末に約20年ぶりに会うことになって、ふとチョココルネ好きだったことを思い出したものだから通りすがりのパン屋さんにふらりと入って手土産にチョココルネを購入。友人もそれをいたく喜んでくれて、久々の再会は話しも尽きず、それはそれは半日以上話し続けたのです。が、友人がずっとチョココルネのことを「エクレア」って言うんです。

私も変に話しの腰を折りたくないし、よくよく考えてみたらチョココルネとエクレアの違いってなんだろう。あれ？もしかしたらこれは友人が言うようにチョココルネじゃなくてエクレアなのかもしれない。でも友人はすごく喜んでいるしまぁエクレアでいいかと思いながら半日話し続けたのですが、やっぱり気になる。なので帰宅中のタクシーの中でお酒でもたげた頭になんとか言い聞かせて「エクレア」とGoogle先生に訪ねてみたところ、「エクレア」ってすっごい甘い菓子パンという印象があるのに語源がフランス語の「雷・稲妻」だという知識を得ました。が、肝心なチョココルネとの類似は全く見つけられず、結果私がこの20年間チョココルネだと思っていたのはエクレアだったという結論でタクシーを降りました。

で、今回ご紹介する物件は「エクレール梅光園」です。

梅光園と言えば六本松にもほど近い閑静な住宅街ながら、地下鉄もバスも、充実した交通環境をもち、福岡都心部まで10分とかからないアーバンエリアでございます。そんな中に突如として現れた「雷・稲妻」。上品なステンドグラスからはその雷っぽさがいまいち感じられませんが、エクレアだって雷っぽさ皆無。なんでだろう。

こちらのなんとも印象的な壁面ですが、ワンルームともなるともうこの壁面が部屋の印象を十二分に左右しています。カラーリングには和を感じさせるような落ち着きのあるトーン、そして幾何学的な連鎖が小気味良いパターン柄で覆い尽くされています。が、やはりここにも稲妻を感じることはできません。わずかに、いくつかの柄が斜め下に向けてラインが落ちているあたりが雷っぽさと言えばそうかもしれないな、なんて思うのが精一杯でございます。

ちなみにこの物件、水回りは非常に綺麗です。清潔感のある物件というのはとても嬉しいものですが、まさにその通り、水回りに経年劣化のよくある古びた感じはあまり感じられません。ゆとりのあるスペースと清潔な水回り。言うことございません。

そして、外に目を向けるとすぐ前は公園です。夕方にもなると子供たちの声で賑やかですし、ベランダ向こうがつまっていないのはとてもありがたいですよね。エクレール（=雷）とはなんと真逆な、ゆとりのある生活がそこには広がっています。

エクレールが雷だなんて、きっとフランス語を訳した人が訳し間違えたのでしょう。誰にだって思い違いはあるものです。エクレアを20年以上チョココルネだと思っていた私が言うんですから間違いありませんし、なんならエクレアの正しい日本語訳は「チョココルネ」なのかもしれません。そう、何事も答えはひとつじゃないのです。