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【ドイツの循環型経済について】ミニマリストを目指して!持ち物を減らす生き方暮らし方。

UPDATE 

日頃から出張が多いのでなるべく家事の時間を減らそうと、ミニマリストを目指して昨年末に家の中の片付けを行いました。

ですが、昔行った旅行先でのお土産やそこでしか買えないグッズ、また子供の小さい頃の洋服など、思い入れのある物が沢山出てきて、ちゃんと持ち物を減らせていないことが判明しました。

どうしてこんなに片付けが出来ないのかと自問自答したとき、ただ捨てるだけだと勿体なく思うことや、当時の思い入れが強過ぎて処分することを躊躇していた物が多いことに気づきました。

そんな時、ドイツに4年在住しているフリーライターの友人が、以前ドイツ国内の循環型経済について話していたことを思い出し、思い切って連絡を取ってみることにしました。

改めて話を聞いてみると、今の日本では考えられないドイツのリサイクル方法が明らかになったので改めて記事にさせていただきました!

2022年初回の記事は、捨てられる人になるために「所有」という視点から、ドイツのナチュラルなサスティナブルな経済循環の事例を基に考えてみたいと思います。

要らない洋服は捨てるのではなく他の人の為にリサイクル

服部「年末に大掃除したんだけど、思い入れの強い服とか物が捨てられずに困っちゃったんだよね...!多くの人が服を捨てるのが一番時間かかるって言われてるのも本当に分かるな〜と改めて思って。前にお話した時に、ドイツって洋服を上手にリサイクルしているって言っていたけど、具体的にどういうリサイクル方法があるのか改めて教えてもらってもいい?」

友人「住宅の前に着なくなった洋服や靴を入れられる専用ボックスがあるんだ。ここに入れられた洋服や靴はそのまま廃棄ではなく、仕分けされて、ホームレスの方へ無償で提供されたり、フリーマーケットなどで古着として販売されたり、アフリカなどの発展途上国や近隣である東欧などにも輸出されたりしているよ。また、着られないような服はクリーニング用の生地や断熱材などに再利用される為に繊維を再加工して活用しているんだ。」

服部「直接廃棄処分になるのではなく、必要に応じて、内容に応じて使われてるんだね!無償提供や近隣諸国へ送られるのも納得!使えないようなものも、断熱材などに使うのもただ捨てて燃やされて終わりとは話が違うかもー!」

友人「それでもこのBoxに入れられた衣料の総量10%くらいはどうしようも出来なくて廃棄されているけどね。あと、Boxに入れるときはビニール袋にまとめて入れて捨てるんだけど、それは服が破れたり汚れたりしないようにする為で、次に着る人の為でもあるんだよ。」

服部「捨てる側としてのマナーというか、次の人をイメージして大切に扱う姿勢はとても素敵だと思う!捨てる側の人が "次の誰かのため" がイメージ出来ているんだろうな...

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※ドイツにある洋服のrecycle box
ちなみにALT KLEIDERとはドイツ語で古着という意味だそうです。
落書きたくさんされていますが、大切に使われています。


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※レバーの下にはちゃんと登って中に入らないことや衣類はちゃんと袋に入れること、靴は紐を結んで片方だけが無くならないようにしてから入れること、他のゴミを捨てないことといった注意書きも書かれています。

服部「ただ廃棄するだけでなく、まだ着られる物は再利用。私たちもリサイクルへの意識とか、10年以上に心がときめく!でこんまりちゃんメソッドも流行したし、捨てるっていう感覚はあると思うけれど、私自身も片付けは苦手なタイプ...(笑)そもそもドイツには余計な物は持たない習慣みたいなものはあるの?」

友人「基本的には整理整頓好きで、タンスや棚の外に物が出ていることを嫌う人が多いのもドイツ人の特徴かもしれない。あとは、日本に留学経験のあるドイツ人がよく言っているんだけど、ドイツ人は日本人と比べてオシャレじゃないし、いくつかの服を着回していたりする。日本人みたいに毎日別の服を着たりファッションにそこまでこだわったりしていないって。」

服部「そうなんだー!ちょっとした文化の違い、感覚の違いはあるかも。私も昔ドイツ人の友人ができた時に、いつもお同じズボン履いてて、"どうしていつも同じなの?"って聞いたら、"同じじゃだめなの?"って聞き返されて、"確かにだめじゃないよね..."って会話になったことがあるよー!(笑)そもそも持ち物は必要分しか持たない人が多いのかもね。」

本は読み終わったら、街角の本棚へ

服部「ちなみに、私自身、本が大好きで家に壁面書棚があるくらいなの。でも、そろそろ処分しようかなーと重い腰を上げたところ。ドイツでは読み終わった本はどうしているの?日本だとそれこそブックオフなどの古本屋で買い取ってもらったりする場所があるけれど...

友人「ネット上で新古本として販売している人もいるけど、古くからドイツは街角に共有の本棚が設置してあって、読み終わって要らない本はそこに置いていって良いんだ。そうすることによって、他の方が持ち帰ることが出来るし、自分も他に読みたい本が本棚にあったら持って帰って良いんだ。」

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服部「すごい!本もちゃんと循環出来ているんだね。しかも街角にあるのが新鮮!」

友人「そうだね。もちろんその街に立っている本だかから借りて、読み終わって、そのまま所有していても良いし、また本棚に返しに来ても良いんだよ。ちゃんとガラス戸になっているから雨や雪の影響で本が痛んだりすることもないんだ。」

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服部「本棚も年季が入ってるし、愛着を持っている感じが伝わってくる...ドイツの街並みと相まって神秘的な雰囲気もある。いつか本物を見てみたいなー

ペットボトルや瓶、缶はスーパーの専用機械でお金に交換

服部「洋服と本とドイツの事例を聞かせてもらったけれど、他にリサイクルで日本と違う点はあったりする?」

友人「後は例えば飲料用のペットボトルや瓶、缶はリサイクル出来るから、中身を飲み干した後、スーパーでリサイクル専用のマシンに入れたりしているよ。そうすれば Pfand (=担保)として購入時に支払っていたお金の返金 ( 厳密にはdiscountコード )が貰えるんだ。それを使ってスーパーで買い物が出来るよ。」

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※以下のマークがあるペットボトルや缶、瓶はPfandの返金が出来るそうです。

参照元: https://allaboutberlin.com/guides/pfand-bottles

服部「それは日本にはまだ無い制度かも。酒屋さんで瓶で購入して、瓶を持っていったら瓶代を返金してくれる...みたいな感覚だけど...!そもそもどうしてこのシステムは生まれたの?」

友人「2003年頃、ドイツでは毎年30億個の使い捨て飲料容器が廃棄されていたんだって。それによる環境汚染を無くす為に、再生可能な容器を使用することを決めたんだ。NGOによるとスーパーでの返金スキームがあるお陰で市場にある98%以上の飲料容器が返品され再利用されているみたいだよ。」

参照記事: https://www.dw.com/en/how-does-germanys-bottle-deposit-scheme-work/a-50923039

服部「なるほど。それなら皆スーパーに空き缶や瓶、ペットボトルを持っていくし、リサイクルの循環もちゃんと回るよね。スーパーでの買い物は日常的なものだし、飲んだものを持っていって、割引チケットでまた買い物できるって、とても自然な流れ!無理がないよね!」

友人「そうなんだよ。よくドラマとかでもある光景だと思うんだけど、ホームレスの人が空き缶集めたりするシーン見たことない?ドイツではその光景がよくあって、ゴミ箱漁って空き缶や瓶、ペットボトルを集める人や休日の公園でBBQしている集団に向かってペットボトルを譲って欲しいと交渉する人がいたりするんだ。ペットボトル1本だけでも25セント(1€=125円で計算すると約31)の返金を貰えたりするから、それで生活している人もいるくらいだよ。」

服部「そうなんだ。それってすごいかも!その場合は譲ってあげたりするの?」

友人「うん。少量だったり、持って帰るのが面倒な場合は譲ったりするかな。後はそういった空き瓶などを外のゴミ箱に捨てるとき、回収し易いようにゴミ箱の外に見やすいように置くのが暗黙のマナーになっていたりするよ。」

服部「服もそうだけど、ちゃんと資源を循環させる文化が根付いていて、且つ経済的に困っている人を助けようとする文化もあるんだね。」

「メルカリ」のようなマーケットプレイスの活用について

服部「日本でいうメルカリみたいなプラットフォームはあったりするのかな?」

友人「E-bayとかfacebookのマーケットプレイスがドイツでは主流かな。こっちの人は要らなくなった時計とかiPhoneや服、よく引っ越しやリノベーションに伴って家具とか車とかをe-bayfacebookのマーケットプレイスで売ったりしているよ。」

服部「多くの人は中古品をそこで買ったりしているのかな?

友人「単価や状態によりけりだと思う。簡単な反面、こちらの人はいい加減な所もあるから、予定の時間に取りに行っても人がいなかったり、事前に販売者と話をつけておいて、当日商品を購入しに行ったら既に他の人に売られていたりといったトラブルも頻繁にあるからあまり知らない人から購入することに関してはみんな敏感になっているかな。売っている方も売れたらラッキーぐらいだと思う。」

服部「そうなんだね。そしたらやっぱり店舗とかで買う方が安心なのかな? そういった中古品を扱うような実店舗はあったりするの?」

友人「日本ほど店舗数はないにせよ中古品を扱う実店舗はあるよ。古着屋から中古の家電を扱うお店、アンティーク家具店とかもあるけど、一番は知人から譲り受けたりするパターンが多いかもね。」

服部「友人や知人から譲り受けるパターンが一番多いって、本当に新鮮な答え!びっくりしちゃった。それは何か特別な理由があるの?」

友人「処理が面倒だからだと思う。後は知り合いってことで品質や金銭の取引が安心出来るからかな。例えば家具を廃棄するときは、回収業者を呼ぶだけでもお金が掛かるから、例えば家を引っ越す時なんかは、次の住人に購入価格より下げた金額で家具を販売することも多いよ。次の住人にとっても1から揃える手間も家具を組み立てしたり、運ぶ為に業者に金を払ったりする手間も省けるからメリットがあるしね。」

服部「とても現実的だし、効率的なやりとりだね!なんか人とのつながりが密なのかなーって感じる」

友人「うん。後は回収業者を呼ぶ時も、指定した道端の場所に前日までに廃棄する家具を出しておくことが条件なんだけど、業者を呼んだ人以外にも近所の人が自分達の要らない家具も一緒に回収して貰えるように指定の場所に投棄したり、逆にまだ使えそうな家具をそこから持って帰ったりしているよ。」

服部「ちなみにその回収した家具とかはどうなるの?」

友人「実はこれもすぐに廃棄とかではなく、家具なんかは日曜日の蚤の市とかで販売されたりもしているよ。」

服部「ちゃんと使えそうなものを二次利用出来るようにプロセスが組まれているんだね。」

編集後記

ドイツ在住の友人の話を聞いていて思ったのですが、ドイツではシェアの考え方やリサイクルの考え方が自然と生活に根付いているように感じました。

物を大切にするだけでなく、自分の元を離れる時も次の人へ優しさを一緒に持ち合わせる感覚。ただ捨てるのとは、そこに流れる時間の質感が違うだろうなーと思います。

ドイツは家もそうですが、古いものに価値がある文化で誰かが使ったものを利用することに抵抗はないそうです。

物が溢れている現代だからこそ、必要以上のものを持たず、大切に物を扱う。
要らなくなったらシェアして、壊れたり傷んだりして使えない物は極力資源を再利用し新しい物に生まれ変わらせる仕組みを利用する。この考え方そのものが、サステナブルな生き方を求められる昨今で大切かもしれません。

SDGsやサスティナブルという言葉が多く飛び交った2021年でした。
2022
年、自分自身の暮らしを見直しながら、より心豊かな人生を歩んでいきたいと思います。

pintos!の読者様は暮らしをよくするために、日々を丁寧に生きていらっしゃる方も多いと思っています。ぜひ、今回のドイツの暮らしを参考に、お部屋の経済循環をはじめてみませんか?

それでは、今年もよろしくお願い致します。

ライター

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服部恭子

福岡出身。大学在学中より、SNSを活用しカウンセリングサロンを主宰。2011 年よりSNSの活用に関する講師活動を行いながら化粧品のプロモーション、海外ウェディングPR、政府観光局主催のトラベルレポーター等を多数経験する。ラグジュアリーホテル&ホテルスパが大好きで年間100泊以上をホテルで過ごす。